平成29年度 和光技研技術発表会

 今年で第19回目となる「和光技研技術発表会」を平成29年6月17日(土)に開催いたしました。

 本年度は、住環境計画、都市計画およびまちづくりに関して専門的な知見をお持ちの北海学園大学 岡本浩一先生を特別講師としてお招きして、御講演いただきました。


■特別講演

住民意識にみる空き家予備軍の考察および空き家活用実践研究の経過

北海学園大学 工学部 建築学科 教授 岡本 浩一 氏

 実際に行われた住民への空き家に対する意識調査から、空き家に対する今後の課題などを説明していただき、実際の空き家を活用した事例をご紹介いただいた。

 

 

■社内技術士講演

冬期土工 ‟土は凍る”

技術管理部 大谷 高志

 冬期施工の築堤に発生した変状について、技術士としての経験・知識等を踏まえた原因と対策、諸問題の解決方法等を紹介した。

 

■技術テーマ部門

洗掘を受けた橋梁の健全度評価と補強計画の策定

道路構造地質グループ 表 康則

 北海道内の既改修河川においては、河床低下による横断工作物の安全度の低下などが問題となっている。
 本発表では、橋脚部に河床低下が生じている橋梁について、現橋の健全度評価の方法、補強対策、今後の洗掘防止対策について紹介した。 

 

下水道の基礎知識と今後の展望

水工グループ 鳥井 英雄

 近年、ゲリラ豪雨、都市化の進展により浸水被害が頻発しているが、北海道における下水道の浸水対策達成率は約56%と低い状況にある。
 本発表では、下水道の目的と役割および今後の課題等と展望について紹介した。

 

高齢化する横断歩道橋の補修計画の策定

道路構造地質グループ 長谷川 直久

 S市が管理する横断歩道橋においては、今後急速に高齢化が進行しており、従前の対症療法的な維持修繕方法と限られた予算で延命化を図り健全性を保ち続けることは、困難な状況にある。
 本発表では、損傷の程度等を勘案した予防保全の観点から策定した補修計画の事例について紹介した。

 

治水・環境・コストを考慮した河畔林維持管理計画(案)と今後の課題

河川砂防環境グループ 林 香名

 近年、氾濫被害が激甚化している状況から、河道内に繁茂した樹木の維持管理対策が急務となっている。
 一方で、一度定着した樹木は市街地の中の貴重な緑地として生物の生息環境となり、住民からは保全要望もある。
 本発表では、治水・環境・コストを考慮した河畔林維持管理計画(案)と今後の課題を紹介した。

 

北海道の漁港施設における機能保全計画の実施事例と今後の展望

河川海岸グループ 下山 康弘

 近年、北海道の漁港施設の多くは老朽化の問題を抱えていることから、深刻な老朽化が顕在化する前に維持補修を行う必要がある。そのため、北海道では水産基盤施設のストックマネジメントを導入し、10年に亘り機能保全計画の策定業務を行っている状況である。
 本発表では、ストックマネジメントおよび機能保全計画の概要と今後の展望について紹介した。

 

気仙沼市での災害復興と土地区画整理事業(移転補償)

建築補償測量グループ 工藤 豊廣

 災害復興における土地区画整理事業は、一定の地区内において道路、公園、排水施設等の公共施設の新設・改善を、宅地整備とあわせて実施する手法であることから、東日本大震災の復興事業にも多く採用されている。
 本発表では、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により被災した地域の「土地区画整理事業事務所」へ出向した際に経験した、移転補償業務の概要と課題について紹介した。

複数部署の連携による当社独自サービスの提供事例

情報システム室 香川 誠

 i-Constructionの本格導入を契機として、建設現場においてUAV(ドローン等)による3次元測量は特別なものではなくなり、私たち建設コンサルタントもUAVや3Dデータに触れる機会が増えてきた。当社では、平成28年度よりUAV写真撮影、撮影写真の三次元データ化、フルカラー3Dプリンタ出力をパッケージとした「3D地形モデリングサービス」をすでに提供している。
 本発表では、このサービス等を題材とした3D関連技術と提供事例を紹介した。

 

3Dデータを活用した業務について

(株)ジオネット 川本 貴大

 近年、ICT関連でLP(レーザープロファイラ)、地上レーザー、MMS(モービルマッピングシステム)、航空写真等より取得する3Dデータを活用した測量成果品が各社で作成されている。
 本発表では、3D点群データを活用した成果品づくりの問題点と今後の展望を紹介した。

 

水防法改正の変遷とそれに伴う浸水想定区域への影響などについて

河川砂防環境グループ 麻生 直斗

 多発する洪水被害への対応を図るため、平成27年に「水防法等の一部を改正する法律」が施行され、浸水想定区域制度が従来の計画規模の降雨から想定し得る最大規模の降雨に対応するように拡充された。北海道においては、平成28年8月に発生した豪雨災害を受けて洪水浸水想定区域図作成が急務となっている。
 本発表では、当社で検討した河川の事例を踏まえ、水防法改正に伴う浸水想定区域への影響等を紹介した。

2017年8月3日