平成23年度 和光技研技術発表会

平成23年6月25日(土)に「和光技研技術発表会」が開催されました。
本年度から「技術研究発表」を「技術発表」とし、より一層技術力向上に即した内容にシフトしました。

■特別講演 新潟県中越地震の復興

技術部 技師長 宮川隆雄

被災から6年が経過した「新潟県中越地震」の復興状況を視察した中で得た知見を基に、過去の地震災害の復旧・復興事例を発表していただきました。

過去に大災害に立ち向かった技術者の行動・事業を紐解き、日常業務をこなす中では忘れがちな『技術者倫理』を持ち続ける必要がある事を訴えかけ、我々が人命の安全を守るための業務を行っていることを再認識させていただきました。

S川における河床低下要因の推定

数値勉強会チーム(柏倉秀二、香川誠、水落彰宏、太田真吾)

河床低下の著しいS川において、河床低下の原因推定、効果的な対策工法を選定するため、数値計算シミュレーションを用いた検討事例を発表した。

既往写真・測量・地質観測データ等から、河床低下の主な原因が地域特有の地質に起因している事が判明したことから、数値計算シミュレーションを用いて推定根拠の裏付けを行いました。

送電線下での橋梁施工

道路・構造課チーム(佐藤敏郎、長坂秀一、表康則)

新琴似川の河川改修事業に伴い、新琴似つばさ橋の架け替えの必要になった。施工地点上空には高圧線が架線されていることから、施工空間が制限されるものであった。
高さ制限に伴い、杭の施工及び上部工架設の施工方法について特殊工法を含めた比較選定が本設計で重要なこととなった。
本発表では平成20年度に設計、21年度に施工された新琴似つばさ橋について、高圧線の高さ制限により一般的に選定される杭施工方法や桁架設が出来ないという問題に対しての対処方法を説明する。また、今後の橋梁設計の方向性について補足説明を行う。

砂防えん堤のスリット化における施工計画

河川砂防課チーム(熊谷研二、佐々木美一、水落彰宏)

近年、不透過型砂防えん堤のスリット化が進められている。スリット化はえん堤のコンクリート面に切り込みを入れることで、洪水時に被害の原因となる礫の流出を防ぎ、平水時は下流に必要な土砂を供給する土砂調節機能の改善、河床の縦断的連続性の確保による生態系の改善などが期待される。
しかし、完成後、長い年月が経過した砂防えん堤のスリット化は、えん堤上流に貯まっている水や土砂の処理方法、施工機械のトラフィカビリティー確保など施工上の多くの問題をかかえている。
本発表では、上記問題を解決するために立案した施工計画について紹介する。

多自然川づくりのポイントとその効果

環境計画課チーム(本間英敏、梶祐子、鈴木雅人)

平成2年に「『多自然型川づくり』の推進について」が通達されてから、全国で様々な川づくりが実施されてきた。しかしこれらの中には、自然環境への配慮を欠いた改修や、他の施工区間の工法をまねただけの安易な川づくりも多く見られる。特に中小河川では課題が残る川づくりの改善が指摘されており、これに対応するため「多自然川づくり基本指針」や「中小河川に関する河道計画の技術基準」がまとめられた。
本発表は中小河川における多自然川づくりについて、自然環境への具体的な配慮手法を示すとともに、その手法がどのような効果をもたらすのかについて発表する。

土壌汚染対策法の概要と調査事例について

防災地質課チーム(宿田浩司、小岩晃)

土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)が平成22年4月に改正され、公共工事を実施する際などにも法に触れる機会が増えました。
本発表は、土壌汚染対策法の制定・改正の経緯や法の目的などの概要について、調査事例を交えて理解を深めていただくことを目的とします。また、運用上の課題や今後の省令の改正案について紹介します。

柔支持基礎の諸問題とその解決策

水工課チーム(北村明、住出徹、黛佳予子、宮本大)

柔支持基礎の多くは、「柔構造樋門設計の手引き」を準用して設計されている。この設計法は、軟弱地盤の動きに構造物が追従し、空洞化を防ぐ対策として、経験的に構築されたものである。
このため適用にあたっては、技術者に判断を委ねる部分が大きい。
この状況を踏まえ、当課で設計した柔支持基礎のうち特に、①「基礎の地盤改良」と、②「基礎の盤ぶくれ」について、特殊条件により、創意工夫が必要となったケースについて報告する。

東日本大震災を教訓として~災害に対して技術者は何ができるか

専務取締役 細川康司

2011年6月25日