当社が保有する特許の概要は、以下の通りです。
1. 発明の名称
鋼桁と杭の剛結構造
2. 登録番号
特許第4644880号
3. 公 開 日
2010年12月17日
4. 開発形式
北海道大学、JFEエンジニアリング(株)と共同開発
5. 特許の概要
鋼殻六面体に鋼桁と鋼管杭を挿入、鋼殻内部にコンクリートを充填する事で、 鋼桁からの断面力を杭に確実に伝達させる。鋼殻六面体の剛結構造は、下図のような鋼床版桁を有するインテクラルアバット橋の橋台部が適用事例の一つである。
6. 設計と発明に至った経緯
- 平成13年度(2001年度)平成14年3月に道路橋示方書が性能規定型に改訂された。
設計の自由度が増し、優れた新技術・新材料の採用が容易となる - 平成15年度(2003年度)札幌市発注の雁来5号橋設計において鋼桁と橋台の剛結構造の検討を行う。(従来の剛結構造形式との比較、鋼殻六面体の剛結構造を開発)
- 平成16年度(2004年度)剛結部の1/2縮小モデルによる交番載荷実証実験により耐荷力を実証する。
- 平成17年度(2005年度)剛結部の交番載荷実証実験結果をFEM解析により検証し橋梁実施設計を実施する。
- 平成18年度(2006年度) 鋼殻部工場製作より橋台部の施工に着手する。鋼殻部に高流動コンクリートの充填実験を行う。 剛結構造を特許庁に特許出願する。
- 平成19年度(2007年度)鋼床版桁を一括架設し、2008年3月に竣工する。
インテグラルアバット橋の竣工後、実橋載荷実験により性能照査を行う。
7. この特許の技術的特徴
- 従来の複合構造では大量のシアコネクタが必要であったが新技術では鋼殻によるコンクリートの拘束効果で力を伝達するためシアコネクタが不要となる。
- 従来のRC構造との剛結部では多量の鉄筋が必要でコンクリートの充填が困難となったが新技術では鋼殻とコンクリートの相互の拘束効果により強度を確保するため鉄筋が不要となる。
- 鋼殻六面体にコンクリートを充填するため鋼殻が型枠として機能するため型枠が不要となる。
- 鋼殻構造は工場製作されるため現場作業はコンクリート充填が主な作業となる。
- 上記全てによりコスト縮減と施工期間の短縮となる。
8. この特許の用途
- 橋梁の上部工と下部工の接合部(剛結部)
- 骨組構造(建築、高架橋等)の梁-柱接合部(剛結部)
- 鉛直部材(柱、塔等)の基部
- 土木建築構造以外の接合部(剛結部)
9. この特許活用の利点及び注目点
- 比較的小さな剛結部躯体が大きな耐荷力と耐震性を有するためコスト縮減と工期短縮に寄与する。
(例えば小さい橋台躯体により仮設土留工が不要になったり、橋台背面に交通がある場合にも交通への影響が最小となる。) - 限界状態設計法の導入が予定されている次期道路橋示方書において桁と橋台部を剛結したインテグラルアバット橋が標準橋梁形式の一つとして導入される可能性がある。
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和光技研株式会社 技術本部
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